20世紀初頭のベンガル地方。地主ビッションボル・ラエは、経済的に困窮しながらも、かつての栄光と誇りにしがみつくように、音楽と舞踊に耽る日々を送っている。隣人である新興の実業家ガングリに対して対抗心を燃やしたロイは、最後の誇りをかけて、自らの音楽サロンで盛大な演奏会を開く。
世界中の映画製作者に影響を与えた、レイ監督の芸術性と映像美が際立つ傑作。音楽監督はシタール奏者の巨匠ヴィラーヤト・カーンが務め、演奏会以外の場面でも有名演奏家が多数出演している。


1958年/原題:Jalsaghar/英語題:The Music Room/100分
日本劇場初公開
20世紀初頭のベンガル地方。地主ビッションボル・ラエは、経済的に困窮しながらも、かつての栄光と誇りにしがみつくように、音楽と舞踊に耽る日々を送っている。隣人である新興の実業家ガングリに対して対抗心を燃やしたロイは、最後の誇りをかけて、自らの音楽サロンで盛大な演奏会を開く。
世界中の映画製作者に影響を与えた、レイ監督の芸術性と映像美が際立つ傑作。音楽監督はシタール奏者の巨匠ヴィラーヤト・カーンが務め、演奏会以外の場面でも有名演奏家が多数出演している。
製作・監督・脚本:サタジット・レイ/原作:タラションコル・ボンドバッダエ
撮影:シュブロト・ミットロ/編集:ドゥラル・ドット/美術:ボンシ・チョンドログプト/音楽:ヴィラーヤト・カーン
キャスト:チョビ・ビッシャシュ、ゴンガポド・ボシュ、カリ・ショルカル
1963年/原題:Mahanagar/英語題:The Big City/136分
ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)受賞
平凡な銀行員シュブロトは家族で唯一の働き手。ある時シュブロトの妻アロティは、(主婦は家にいるべきという)慣習と義父の反対を振り切って訪問販売員としての職を得る。アロティは仕事で順調に評価され自信と経済的自立を手にするが、その状況を受け入れることができない夫は妻に離職を迫る。
レイ監督が初めてネオリアリズモへの挑戦を試みた作品であり、物語は1955年当時のコルコタの日常を描く。貧しい下層・中流階級を襲う社会経済的な苦悩に焦点を当て、それを主人公女性の自立を通じて表現している。
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:ノレンドロナト・ミットロ
撮影:シュブロト・ミットロ/編集:ドゥラル・ドット/美術:ボンシ・チョンドログプト
キャスト:マドビ・ムカルジ、オニル・チャタルジ、ヘレン・チャタルジ
1964年/原題:Charulata/英語題:Charulata/119分
ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)受賞
1880年頃のカルカッタ(現コルカタ)。美しいチャルラータは、外界から隔絶されたヴィクトリア朝時代の華美な邸宅で当てもなく毎日を過ごしている。理想主義的な知識人の夫ブポティはそんな妻を愛し支えているものの、新しい政治新聞の発行に追われ妻との時間が思うようにとれない。そんな折、ブポティのいとこのアマルが訪ねて来ると、ブポティはチャルラータに眠る文才を開花させてほしいとアマルに頼む。
愛、理想主義、失望、そして悲哀への賛歌である本作は、レイ監督が手掛けた中で最も優美な作品であり、監督の創造期と言われる1960年代に撮られた最高傑作。
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:ラビンドラナート・タゴール
撮影:シュブロト・ミットロ/編集:ドゥラル・ドット/美術:ボンシ・チョンドログプト
キャスト:マドビ・ムカルジ、ショウミットロ・チャタルジ、ショイレン・ムカルジ
1965年/原題:Kapurush/英語題:The Coward/70分
日本劇場初公開
監督作品の常連であるショウミットロ・チャタルジが、コルコタの脚本家で主人公のアミを演じている。アミは不運にも乗車したタクシーの故障に見舞われるが、茶園を経営する裕福なビマールの親切で彼の家に泊まることになる。驚いたことに、ビマールの家にいた彼の妻コルナは、何年も前、アミが自身の優柔不断ゆえに失った元恋人であった。
家族、結婚、男尊女卑、階層といった旧来の価値観と、個人の自由や愛、自己決定といった新しい価値観のぶつかり合いが描かれる。
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:プレメンドロ・ミットロ
撮影:ショウメンドゥ・ラエ/編集:ドゥラル・ドット/美術:ボンシ・チョンドログプト
キャスト:ショウミットロ・チャタルジ、マドビ・ムカルジ、ハラドン・バナルジ
1965年/原題:Mahapurush/英語題:The Holy Man/67分
日本劇場初公開
弁護士であるグルパダ・ミトラは、妻の死以来、深刻な精神不安に陥っている。娘のブチキとバラナシからの帰路、グルパダは不老を自称するビリンチ・ババと出会う。グルパダは彼に感銘を受け、彼を支援し入信することを決意する。
コメディ映画の体裁を取りつつ、宗教的偽善や盲目的な信仰を鋭く風刺し、狂信的信仰を戒めている。伝統と近代化が交錯するインド社会に対するレイ監督の鋭い観察が投影された作品。
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:ラジシェコル・ボシュ(ポロシュラム)
撮影:ショウメンドゥ・ラエ/編集:ドゥラル・ドット/美術:ボンシ・チョンドログプト
キャスト:チャルプロカシュ・ゴーシュ、ロビ・ゴーシュ
1966年/原題:Nayak/英語題:The Hero/117分
ベルリン国際映画祭 審査員特別表彰 日本劇場初公開
有名なベンガル映画俳優であるアリンダムは、デリーで行われる授賞式へ列車で向かうことになる。列車内では乗客全員が彼のことを知っている。その中で彼の関心を引いたのは、お堅い女性誌の記者アディティだった。スターの役割に明快で批判的な視点を持つ彼女がアリンダムにインタビューを行うことで、彼は自身の半生を見つめ直すことになる。
アリンダムの危機や内省を通して、映画業界の問題(軽薄な娯楽作品の量産、商業主義、そして腐敗したビジネス慣行)を巧みに批判している。
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/撮影:シュブロト・ミットロ
編集:ドゥラル・ドット/美術:ボンシ・チョンドログプト
キャスト:ウットム・クマル、ショルミラ・タクル(ヒンディー語読み:シャルミラー・タゴール)、ニルモル・ゴーシュ
1979年/原題:Joi Baba Felunath/英語題:The Elephant God/122分
日本劇場初公開
私立探偵のフェルーとそのいとこが休暇のためバラナシの街に到着すると、ある男に事件の解決を依頼される。ネパールの王子から譲り受けた家宝だという貴重なガネーシャの金像が盗難に遭ったらしい。フェルーは、事件解決のための重要な手がかりを知る少年ルクと親しくなる。
レイ監督自身による小説「探偵フェルダーシリーズ」を元に映画化された第2作目。ショウミットロ・チャタルジ演じる探偵がその高い分析力と洞察力で事件を解決に導く、エンターテイメント性に富んだテンポのよい冒険コメディ。
監督・原作・脚本・音楽:サタジット・レイ/撮影:ショウメンドゥ・ラエ
編集:ドゥラル・ドット/美術:オショク・ボシュ
キャスト:ショウミットロ・チャタルジ、ショントシュ・ドット、シッダルト・チャタルジ
Photo by Tamaki MATSUOKA

1921年5月2日、インドのコルカタ生まれの映画監督、脚本家、作曲家、小説家、カリグラファー、イラストレーター。ベンガル地方屈指の名家・レイ家の出身で、詩人で画家の祖母と、文学者であり画家でもあった父シュクマル・レイの影響を強く受けて育つ。コルカタ大学では経済学を専攻し、その後、ノーベル文学賞にも輝く詩人ラビンドラナート・タゴールが創設したサンティニケタン大学に進学し、タゴールから深い芸術的・思想的影響を受ける。1942年からはイギリス系の広告会社にて広告デザイナーとして活動する傍ら、映画への情熱を育む。1949年には「カルカッタ(コルカタ)・フィルム・ソサエティ」の創設に参加。同年、ジャン・ルノワールが『河』の撮影のためインドを訪れた際に彼のアシスタントを務め、またヴィットリオ・デ・シーカやルキノ・ヴィスコンティらのネオレアリズモ映画に触発され、自らの映画制作を決意する。
1951年に初監督作『大地のうた』の制作に着手。1955年に完成させ、翌年カンヌ国際映画祭でベストヒューマンドキュメント賞を受賞。その後も、オプー三部作として知られる『大河のうた』、『大樹のうた』を完成させ、名声を不動のものとする。その生涯で30本を超える映画を制作し、インド映画界のみならず、世界中の映画人に計り知れない影響を与えた。彼の作品は人間の本質に迫る深い洞察と、詩的な映像、音楽のセンスによって、今なお色褪せることがない。
大地のうた
Parher Panchali大河のうた
Aparajito賢者の石
Parash Pathar音楽サロン
Jalsaghar大樹のうた
Apur Sanar女神
Devi3人の娘
Teen Kanya詩聖タゴール
Tagoreカンチェンジュンガ
Kanchenjungha遠征
Abhijian大都会
Mahanagarチャルラータ
Charulata二人
Two臆病者
Kapurush聖者
Mahapurush主人公
Nayak動物園
Chiriakhanaグピとバガの冒険
Goopi Gain o Baghi Bain森の中の昼と夜
Aranyer din Ratri対抗者
Pratidwandi株式会社
Simabaddhaシキム
Sikkim心の眼
The Inner Eye (短編)遠い雷鳴
Ashani Sanket黄金の砦
Sonar Kellaミドルマン
Jana-Aranyaバーラ
Bala (短編)チェスをする人
Shatranj ke Khilariエレファント・ゴッド
Joi Baba Felunathダイヤモンドの王国
Hirok Rajar Desheピクー
Pikoo (短編)遠い道
Sadgati (短編)家と世界
Ghare Baireシュクマル・レイ
Sukumar Ray (短編)民衆の敵
Ganashatra枝わかれ
Sakha Prasakha見知らぬ人
Agantuk都道府県
劇場名
公開日
劇場名/公開日
東京
【上映終了】
東京
【上映終了】
東京
【上映終了】
神奈川
【上映終了】
神奈川
【上映終了】
群馬
【上映終了】
千葉
【上映終了】
新潟
【上映終了】
富山
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長野
【上映終了】
愛知
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京都
【上映終了】
大阪
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兵庫
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広島
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福岡
【上映終了】
鹿児島
【上映終了】
沖縄
【上映終了】
COMMENT
数年前、サタジット・レイ、1958年の作品「音楽サロン」、銀座のエルメスで上映、という情報をみつけ、何も予備知識のないまま見に行った。物語はさておきインドの没落貴族が開催する音楽サロンで繰り広げられる、奥深い音楽のパフォーマンスに圧倒されてしまった。中でも自由自在に歌う「Kyal(キヤル)」形式の歌手に心を奪われてしまったのだ。
その神業のような歌声を聴き、自分の音楽脳が喜びの波で満たされてしまい、音楽を聴いてそんな気持ちになったのは初めての体験だった思う。それ以来その歌手は誰なのか調べ始めたが、情報不足で謎だらけの迷路にはまってしまった。そして数年を経てやっと探り当てたような気がする。
Salmat Ali Khan(サラーマト・アリー・カーン)である。だがその名で検索する顔写真は映画の歌手とは違うのだ。しかしクレジットにはその名が記されている。いやまったく謎めいた映画である。現代の世界からは消えてしまった幻の時代、それを映画として遺したサタジット・レイという映画作家こそ最も謎めいている。
細野晴臣(音楽家)